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【USED LP】Miles Davis / Miles Davis in Europe
JPY 2,650(USD 16.78)
夜の海辺の町に、野外の熱気がまだ残っている。拍手の波が、静まる前にもう次の音を呼んでいる。トランペットは、気負いなく最初の一音を置く。若いドラマーの手が、シンバルの上で絶えず話しかけている。ベースは足元を踏み固め、ピアノは和音の影を落とす。テナーは、慣れた道を新しい足取りで辿り直す。知り尽くした曲が、その夜だけの表情を見せる。遠い席の客にまで、同じ熱が届いている。観客の息遣いまでもが、演奏の一部になっている。針を落とすたび、南の夜風が吹き込んでくる。この盤は、ある夏の夜の、きらめく記録である。 ――――――――――――――――――――― PAIRING COFFEE このアルバムに似合うコーヒーは、 MANDHELING G1 夜の野外で燃え上がる、若い推進力のグルーヴに。 深煎りの苦みとボディが、疾走するリズムの重さを受け止める。 拍手の熱が冷めた後も、余韻を引き延ばす一杯。
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【USED LP】Toshiko Akiyoshi - Lew Tabackin Big Band / Kogun 孤軍
JPY 3,250(USD 20.57)
笑顔の奥に、静かな決意が隠れている。遠い異国の夜に、一人ぶんの灯りがともっている。ブラスが一斉に息を吸い込み、空気が膨らむ。ピアノは、その中心で小さく、しかし揺るがずに鳴る。哀歌は、大編成の厚みに包まれても湿り気を失わない。和の旋律が、西洋の和音の隙間から顔を覗かせる。孤立という言葉が、ここでは誇りの色をしている。フルートの息が、遠い故郷の笛のように聞こえる。大勢の音の中に、ひとりの意思がまっすぐ通っている。針を落とすたび、旅立ちの朝の空気が蘇る。この盤は、一軍を率いる者の、静かな始まりの記録である。 ――――――――――――――――――――― PAIRING COFFEE このアルバムに似合うコーヒーは、 YIRGACHEFFE ARICHA 張り詰めた決意と、削ぎ落とされた哀歌に。 深煎りの苦みとボディが、大編成の厚みの奥にある孤独と響き合う。 笑顔の裏にある強さを、静かに味わうための一杯。
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【USED LP】Miles Davis All Stars / Walkin'(国内盤 / Prestige SMJX-10046(M) / MONAURAL / ライナー付・帯なし)
JPY 2,600(USD 16.46)
信号機の灯りが、夜の交差点を照らしている。足音はゆっくりと、しかし迷いなく前へ進む。トランペットの一音一音が、路面を踏みしめるように鳴る。ミュートの奥に、静かな熱がこもっている。歩幅は変わらない。急かされることもない。すれ違う楽器たちが、互いに会釈をするように音を交わす。青信号は、まだしばらく灯り続けている。歩き出した者だけが辿り着ける場所がある。その足取りは、今も古びていない。針を落とせば、また同じ速度で歩き出す。道の先には、まだ見ぬモダン・ジャズが待っている。 ――――――――――――――――――――― PAIRING COFFEE このアルバムに似合うコーヒーは、 MANDHELING G1 一歩ずつ踏みしめるような、ブルースの重量感に。 深煎りの苦みとボディが、揺るぎない歩調を支える。 モダン・ジャズの夜明けを告げる、その熱量に応える一杯。
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【USED LP】The Herb Ellis Quintet / Thank You, Charlie Christian 国内盤 / Verve MV 2602 / 1977
JPY 2,860(USD 18.10)
弦を弾く指先には、迷いがない。 チェロのピチカートが、ギターの陰に静かに寄り添う。誰かへの手紙のような、そんな響きがある。音は新しくないが、色褪せてもいない。午後の陽だまりに似た温度が、部屋の隅々まで届く。急ぐ理由は、どこにもなかった。古い写真を捲るように、一曲ごとに間がある。思い出は、悲しみではなく、感謝のかたちをしている。弦の余韻が消える前に、次の音が静かに重なる。誰かの名前を、そっと呼ぶような演奏だった。その声は、いまも溝の中で息をしている。 PAIRING COFFEE このアルバムに似合うコーヒーは、 GAYO OLD 先達への感謝を、静かな敬意のかたちで奏でる一枚に。 深煎りの苦みとボディが、時を経てなお枯れない温もりに応える。 新しさより、積み重ねてきた質感を味わうための一杯。
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Sam Gendel / blueblue【NEW Vinyle】
JPY 4,500(USD 28.49)
遊んでいるようで、革新的。 それでいて空虚な感じとクールさを兼ね備えている。 だからGendelはMiles Davisのようでもあり、John Coltraneのようでもある。 2022年。オレゴン州、Columbia川の支流に浮かぶ小屋。 そこに仮設のスタジオを組んで、五週間で録り切った。 潮の満ち引きを覚えるくらいの時間、彼はそこにいた。 十四曲すべてに刺し子の文様の名がついている。 縦縞。七宝。鳥襷。網目。籠目。矢来。 菱井桁という曲もある。この店の建物の屋号と同じ字だ。 だが曲名と文様の対応は、はっきりとは示されない。 ふざけているのか、本気なのか。 その判断を宙吊りにしたまま、音だけが薄暮の色で続いていく。 PAIRING COFFEE このアルバムに似合うコーヒーは、YIRGACHEFFE ARICHAだ。深煎りの苦みと厚み。その底を覗き込むとき、あちら側もまたこちらを覗き込んでいる。
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Muggsy Spanier / The Essence Of Jazz Classics, Vol. 6【USED Vinyle】
JPY 1,300(USD 8.23)
本当のジャズが何か知りたいか。 言うことはない。古い音楽から聴くんだ。 1939年。7月から12月にかけて、四回のセッション。 Muggsy Spanierとラグタイム・バンド。全16曲。 ニューオリンズ生まれではない白人が、完全なニューオリンズ・スタイルを持っていた。 Louis Armstrongの1922年から26年までを、そっくり自分のものにした男だ。 だが高音は使わない。中音域だけで押し通す。 Relaxin' At The Touro。大病で入院した病院の名を冠したブルース。 死にかけた男が、退院してすぐ作ったバンドで吹いている。 コルネットにギャングがチップの札を突っ込んだ、というシカゴの話も残る。 そういう時代の音だ。 PAIRING COFFEE このアルバムに似合うコーヒーは、GAYO OLDだ。乾いた質感と、古い木のような香り。1939年の空気に、新しさは要らない。
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Joe Burton / Here I Am In Love Again【USED Vinyle】
JPY 2,200(USD 13.93)
非常に本質的なジャズピアノだ。 旅をする。途中に泊まったホテルのラウンジで、本質的なピアニストがいたら。 妄想かもしれない。映画のようだ。このジャケットも、トリオの演奏も。なにもかも。 1957年4月21日、ニューヨーク。 Joe Burtonのピアノ、Jud DeNautのベース、Nick Fatoolのドラム。 Do Nothin' Till You Hear From Me。ためらうような一音から始まる。 和音が足され、ベースが寄り添い、また主題へ戻る。 急がない。押し出さない。ただ流れている。 Burtonは天才ではない。これも大名盤ではない。 だが軽妙なフレーズが、深夜のラウンジにそのまま置かれている。 PAIRING COFFEE このアルバムに似合うコーヒーは、mementoだ。澄んだ甘さと、静かに伸びる余韻。三人の間合いを崩さない一杯が、この時間には合う。
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Nat Adderley / Work Song【USED Vinyle】
JPY 2,750(USD 17.41)
ファンキーという言葉がある。もう今やわからないだろう。 こいつがそれだ。ファンキージャズ。 1960年1月、ニューヨーク。 コルネット、ギター、チェロ。前線に並ぶ三つの旋律楽器。 こんな編成は他にない。 Work Song。ミュートをつけたコルネットに、Sam Jonesのチェロが応える。 呼びかけと応答。Louis Hayesのドラムが、その隙間を叩いて煽る。 Wes Montgomeryのギターが、Charlie Christian以来と言われた頃の音で入ってくる。 兄Cannonballの影に隠れがちな男が、ここでは自分の曲で真ん中に立っている。 労働の歌だ。囚人が鎖を引きずりながら歌う類の。 それを洒落たクラブで鳴らして、客を踊らせた。 PAIRING COFFEE このアルバムに似合うコーヒーは、MANDHELING G1だ。深煎りの重い苦みと、隠しようのない厚み。土くさく、腹に残る一杯が、この躍動には合う。
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Randy Newman / Live 【USED Vinyle】
JPY 2,800(USD 17.72)
これが本物の歌うたいだ。 ピアノが一台と、男が一人。それだけで足りている。 1970年9月、ニューヨークのThe Bitter End East。 客席のざわめきが、曲と曲のあいだにそのまま入っている。 Davy The Fat Boy。太った少年を見世物にして金を取る男の歌だ。 Newmanはその男の側から歌う。批判はしない。ただ演じきる。 笑い声が起きる。だが何を笑ったのか、途中でわからなくなる。 Yellow Man、Old Kentucky Home、Cowboy。 どの曲にも、まともでない誰かが立っている。 弾き語りだから、逃げ場がない。 編曲でごまかせない場所に、この人の毒はいちばんよく残る。 PAIRING COFFEE 一杯は、GAYO OLDで。乾いた質感と、古い木のような香り。愛想のない一杯が、この毒気には似合う。飲み終えても、後味が素直に引いていかない。
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Miles Davis / Bitches Brew LP 2枚組 US盤【USED Vinyl】
JPY 4,400(USD 27.85)
黒い渦だ。ジャケットを開けば、そこにはもう秩序というものがない。マティ・クラーワインの絵が、燃える花と割れた横顔を並べて、何かの儀式を予告している。1969年、8月。ニューヨークのスタジオで、マイルスは楽器を減らすかわりに、楽器の数を増やした。エレクトリックピアノが三台。ベースが二本。ドラムが二人。もう誰にも制御できない密林を、あえて作った。 テオ・マセロの編集鋏が、その密林に道をつけた。切って、貼って、また切って。ジャズという言葉がもう追いつかない音楽が、そこに生まれた。ロックでもファンクでもアフリカでもない。全部でありながら、全部を裏切っている。 このアルバムには、MANDHELING G1を合わせる。重厚で、ダークで、土の匂いを引きずる豆だ。すっきりとは終わらない。喉の奥に、いつまでも居座る苦みがある。Bitches Brewも同じだ。聴き終えても、しばらく体の中で渦を巻いている。
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Peggy Lee / Black Coffee 【USED Vinyl】
JPY 1,800(USD 11.39)
真夜中、眠れない。 床を歩きまわり、ドアを見張る。そのあいだにブラック・コーヒーを飲む。恋は使い古しのブルース。日曜の午後がどんなものか、この平日の部屋では永遠にわからない。午前一時から四時まで、影に話しかけている——「Black Coffee」の歌詞は、そういう夜の記録だ。 ペギー・リー。彼女は叫ばない。囁く。声を張り上げるかわりに、引く。その引き算が、聴く者の身を乗り出させる。ジューン・クリスティでもクリス・コナーでもない、この乾いた官能。ニコチンと、冷めたコーヒーと、来ない誰かを待つ時間。 1953年から56年、デッカ録音。ジミー・ロウルズのピアノ、ピート・キャンドリのトランペットが、煙のように寄り添う。派手な伴奏はいらない。この声には、余白がいちばん似合う。 「I've Got You Under My Skin」も、「There's A Small Hotel」も、彼女が歌うと違う色になる。明るい曲でも、どこかに夜の匂いが残る。それがペギー・リーだ。 針を落とせば、眠れない夜が始まる。 ──── COFFEE PAIRING ──── ブラックで。銘柄は問わない。 このレコードにミルクは要らない。砂糖も要らない。タイトルがすべてを言っている。ブラック・コーヒー。それだけだ。 強いて挙げるなら MANDHELING G1。深く、苦く、夜の重さを持つ一杯。眠れない夜の相棒として、これ以上のものはそうそうない。だが本当は、いま手元にあるブラックを、ただ黙って飲めばいい。ペギー・リーの声が、残りをやってくれる。
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John Coltrane / Meditations【USED Vinyl】 Impulse! AS-9110(US盤/King Records 直輸入・帯破れ・解説カード付)
JPY 5,500(USD 34.82)
瞑想?どう考えても、これは叫びだ。 1966年2月、ジョン・コルトレーンは自らのカルテットにもう一人のテナーともう一人のドラマーを加えた。ファラオ・サンダースとラシッド・アリ。二本のサックスが唸り、二台のドラムが波のように押し寄せる。『至上の愛』で神に到達した男が、次に選んだのは対話ではなく、洪水だった。 「父と子と精霊」に始まり「安らぎ」に終わる。組曲としての体裁を取りながら、実際には途切れることのない一本の祈祷だ。美しさを求めていない。求めているのは、その先にあるものだけだ。 この盤には、そういう不均衡さがある。整った美とは違う場所で鳴っている。 paring coffee MANDHELING G1を合わせる。深煎り、重心の低い一杯。苦味の奥に眠る甘さは、二本のテナーがぶつかり合った後にようやく立ち上る静けさに似ている。 熊川宿の午後、この一枚を鳴らすなら、灯りは落としたほうがいい。
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Sonny Rollins / Alfie 【USED Vinyle】(帯付・日本盤・impulse! / MCA VIM-4639)
JPY 2,200(USD 13.93)
女を次々に取り替える男の話に、Rollinsは10分のテナーで応えた。 1966年1月26日、ニューヨーク。 映画はロンドンで撮られ、音楽だけがここで吹き込まれた。 Alfie's Theme。歩くようなテンポで、短い動機が繰り返される。 Rollinsのテナーは、その上を悠々と外れていく。 編曲はOliver Nelson。9人編成のホーンが、律儀に背後を固める。 Kenny Burrellのギターが一度だけ前に出て、また引く。 映画の主人公は、最後に自分の生き方を疑いはじめる。 音楽はそこまで説明しない。 軽い足取りのまま、B面の終わりまで進んでいく。 聴き終えて、はじめて軽さの意味がわかる。 PAIRING COFFEE 一杯は、WOTE KONGAで。角のない口当たりと、後から来るやわらかな甘さ。Alfie's Themeの軽い足取りに、重すぎない一杯が寄り添う。
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Thelonious Monk / Solo On Vogue【USED Vinyl】
JPY 2,400(USD 15.19)
ヴォーグのスタジオでたった一人、ピアノに向かった。 1954年6月7日、パリ。サル・プレイエル劇場での「サロン・ド・ジャズ」に出演するため滞在していたセロニアス・モンク、伴奏者はいない。誰の顔色もうかがわない。「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」の最初の一音から、間の取り方そのものが旋律になっている。弾かない音が、弾いた音と同じだけの重みを持つ。これがモンクにとって初めてのソロ・レコードだった。 「煙が目にしみる」を除く全曲がオリジナル。パーカーでもガレスピーでもない、ビ・バップの高僧と呼ばれた男の、素顔に近い一枚。 paring coffee このアルバムにはWOTE KONGAを合わせる。穏やかで、余韻の長い一杯。音と音の間にある沈黙を埋めない、そのままの間隔を保つコーヒー。 熊川宿の静かな午後には、こういう一人の時間がよく似合う。
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Gary Peacock / Keith Jarrett / Jack DeJohnette / Tales Of Another【USED Vinyl】
JPY 2,600(USD 16.46)
ゲイリー・ピーコックが自らの名義で初めて西側世界に発表したリーダー作に、キース・ジャレットとジャック・ディジョネットを招いた。 1977年2月、ニューヨーク。 後に「スタンダーズ・トリオ」として知られることになる三人の、最初の記録がここにある。 全6曲、すべてピーコックの作曲。ベースが主導権を握りながらも、誰かが前に出るという構図にはならない。三者がそれぞれの間合いで、同じ重心を探り合っている。 オーネット・コールマンとの共演で「霊的コミュニケーション」を掴んだというピーコックの言葉通り、ここには段取りのない対話がある。 paring coffee このアルバムにはGAYO OLDを合わせる。輪郭がやや粗く、時間の経過を感じさせる一杯。抽象的な曲構成に、余計な甘さを添えないコーヒーがいい。 熊川宿の午後、レコードの回転音だけが響く時間に。
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Gary Burton・Chick Corea / Crystal Silence【USED Vinyl】
JPY 2,800(USD 17.72)
ヴァイブとピアノだけで一枚のアルバムを作る。ベースもドラムもいらない。この編成そのものが、当時のジャズにとって一種の宣戦布告だった。リズム隊という後ろ盾を捨てて、二つの旋律楽器だけで空間を持たせる。それができるのは、余計な音を出さない胆力を持った人間だけだ。 チック・コリアは当時まだ30そこそこ。すでにマイルスのバンドを経て、リターン・トゥ・フォーエヴァーで名を上げつつあった。ゲイリー・バートンはインディアナ生まれ、カントリー畑からロックへ、そしてヴァイブの世界へと転がり込んだ変わり種だ。畑違いの二人が、なぜかここでは息が合いすぎている。テーマが一方の楽器から始まり、もう一方に受け渡される。その渡し方に、一切の淀みがない。 マンフレート・アイヒャーという男がこの空気を作った。コマーシャリズムに毒されたアメリカのジャズ・レコード業界の裏をかくように、ミュンヘンの小さなレーベルから、静けさそのものを録音する技術を磨き上げた。オスロの一夜、ふたりの楽器の音が、次の日には結晶になっていた。 この一枚には、mementoを合わせる。
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Zoot Sims Quartet / Zoot LP 国内盤【USED Vinyl】
JPY 1,800(USD 11.39)
ブレている。その表情が怒りとも悲しみともつかないZootの第一印象となった。 1956年10月12日の録音。ズート・シムズは白人テナーの中でも異色の存在だった。マイルス・デイヴィスにさえ評価されたという逸話が、そのままこの盤の説得力になっている。レスター・ヤングから受け継いだ歌心を、若干の崩れも許しながら、まっすぐ吹き抜ける。ワン・ホーンのカルテット編成だからこそ、余計な仕掛けがすべて削ぎ落とされている。 ジョニー・ウィリアムスのピアノが控えめに寄り添い、ノビー・トッターのベースとガス・ジョンソンのドラムが、ただ歩くようにリズムを刻む。派手さのない4人が、ズートという一人の魅力だけを浮かび上がらせるために存在している。 この一枚には、WOTE KONGAを合わせる。メロウで、バラードのように解けていく豆だ。ズートの吹く"The Man I Love"や"That Old Feeling"のように、構えず、ただ寛いで聴くための一杯になる。
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Max Roach & Clifford Brown / In Concert 【USED Vinyl】
JPY 2,200(USD 13.93)
1954年、ロサンゼルス。カリフォルニア・クラブという店で、二度のライヴが行われた。4月と8月。同じ年でも、メンバーは半分入れ替わっている。テディ・エドワーズからハロルド・ランドへ。カール・パーキンスからリッチー・パウエルへ。 だがマックス・ローチとクリフォード・ブラウンは、変わらずそこにいる。師弟でも兄弟でもない、もっと直接的な信頼の形がそこにある。 もともとは10インチ盤2枚に散っていた演奏だった。12インチ化の際に、時間の都合でソロが切り刻まれた。誰も気づかないまま、何十年もそうやって流通していた。1984年、ようやく元の尺のまま、日本で一枚に編まれた。切られた小節が、戻ってきた。 ジョン・ブラントの手による装丁だ。矢の先には黒いシンバルの雲。何かが放たれた瞬間を、そのまま額に入れて飾ったようなジャケットだ。 この一枚には、あえてブレンドのmementoを合わせる。味わいが調和を重んじる一方でブラウンのトランペットも、ローチのドラムも、鳴り終わった後にまだ何か言い足りていない。そういう感触がある。
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The Modern Jazz Quartet / Concorde 【USED Vinyl】
JPY 1,800(USD 11.39)
ジャズにタキシードを着せた四人組がいた。 モダン・ジャズ・クァルテット。ステージに現れるとき、四人は必ず正装だった。ヴァイブ、ピアノ、ベース、ドラム。バップの汗と煙から生まれた音楽に、彼らは背筋を通した。ブロウしない。叫ばない。ジョン・ルイスのフーガが、バッハの対位法をハーレムの夜に接続する。 1955年7月2日、ヴァン・ゲルダー・スタジオ。この盤で、コニー・ケイが初めてドラムに座った。ケニー・クラークの後任。全編を貫く彼のシンバル・ワークは、白熱していながら、決して前に出ない。抑制こそが熱を高めるということを、この四人は知っていた。 表題曲「Concorde」。ルイスがパリの街の名を冠した一曲だ。フランスへの憧れ、ヨーロッパの伝統。だがそれは単なる模倣ではない。得意のフーガ形式に、即興という譲れない核が埋め込まれている。ルイスとジャクソンの見事な調和。この一曲だけで、MJQが最高のモダン・ジャズ・コンボであることの証明になる。 ミルトのヴァイブが歌い、ルイスのピアノが応える。掛け合いは双子のようだ。誰が主役でもない。四人で一つ。それがこの楽団の、最初からの流儀だった。 針を落とせば、端正な熱が部屋を満たす。急がず、崩れず、美しく。 ──── COFFEE PAIRING ──── memento 店の名を冠した豆。派手な個性で押すのではなく、全体の調和で聴かせる——その在り方が、この楽団とよく似ているからだ。 バランスのとれた甘さと、静かな余韻。ジョン・ルイスの端正なタッチのように、出しゃばらない。だが確かな芯がある。「朝日のようにさわやかに」を聴きながら、ゆっくり飲むのがいい。
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The Modern Jazz Quartet and The All-Star Jazz Band / Jazz Dialogue LP 国内盤【USED Vinyl】
JPY 1,200(USD 7.60)
対話、というタイトルの通り、腕と腕が触れ合うようだ。 MJQというコンボが、オーケストラと初めて対等に向き合った一枚。ジョン・ルイスは自分たちの当たり曲を、大編成のために書き直した。クラーク・テリー、フィル・ウッズ、ケイ・ウィンディングといった名うてのプレイヤーたちが集められ、コンボとビッグバンドが互いに譲らず、それでいて溶け合っている。優雅なだけだったルイスのオーケストレーションに、これまでにない乾いた強さが加わった一枚だ。 ジャンゴ、ホーム、ワン・ネバー・ノウズ。すでに手の内に入った曲を、もう一度別の言葉で語り直す。それが「対話」という題の意味だ。 この一枚には、mementoを合わせる。ピアノ・トリオ的な静けさと、じっくり構える室内楽的な感触を持つ豆だ。ミルト・ジャクソンのヴァイブが、オーケストラの中で一音ずつ丁寧に応答していくように、この一杯も慌てず、丁寧に淹れたい。
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Sonny Rollins / Way Out West 【USED Vinyl】
JPY 1,800(USD 11.39)
1957年3月7日、午前3時、ロサンゼルス。 三人は昼間、それぞれ別のスタジオ仕事で潰れていた。だからセッションは真夜中に呼ばれた。ソニー・ロリンズ、レイ・ブラウン、シェリー・マン。この三人が同じ部屋で演奏するのは、これが初めてだった。ピアノはいない。テナー、ベース、ドラムだけ。逃げ場のない編成だ。和音の布団はない。裸で立つしかない。 明け方7時。四時間ぶっ通しで半分録り終えた頃、ロリンズが言った。「今、乗ってる」。24時間起きていたシェリーが返した。「俺も弾きたくなってきた」。疲れ切っていたレイは、ただ笑った。 そこから「Way Out West」が生まれた。西へ来たことを祝う、ロリンズの自作。 ジャケットのロリンズを見ろ。ステットソン帽、ガンベルト、ホルスター。荒野にサックスを提げて立っている。カウボーイ映画で育ったニューヨークの子供が、初めて本物の西部に来た。冗談のような格好だ。だが音は冗談じゃない。「I'm An Old Cowhand」の馬の蹄のようなリズム。これほど自由で、これほど堂々とした演奏は、そうそうない。 十六分の音楽が、三十分で録れた。針を落とせば、あの夜明けの空気が戻ってくる。 ──── COFFEE PAIRING ──── GAYO OLD オールドクロップ特有の、乾いた土の質感。角の取れた深み。派手な酸はない。かわりに、どっしりとした落ち着きがある。 西部の荒野、明け方の乾いた空気。ロリンズのテナーの図太さ。この盤に必要なのは、華やかさではなく、地面のような重さだ。深めに淹れて、ゆっくり飲む。急がなくていい。あの夜明けの三人が、急がなかったように。
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Minor Threat / Minor Threat (First Two Seven Inches) 【NEW LP】
JPY 3,600(USD 22.79)
誰かに何かを言われること自体が腹立たしいから、音楽で叫ぶことに決めた。自由を求める姿勢、誰とも同じではない表明。Straight Edge. 1981年、ワシントンD.C.。イアン・マッケイは十九歳だった。酒を飲まない。ドラッグをやらない。誰彼構わずヤらない。それを歌にしたら、勝手に運動になった。本人が一番驚いたはずだ。四十六秒の曲に、思想の名前がついてしまった。 「Straight Edge」——直訳すれば、まっすぐな刃。定規の縁。だが本人は主義を作ったつもりなどない。ただ、自分はこうだと言っただけだ。俺はお前らと違う。それだけの話が、四十年経っても消えない。 音は速い。速すぎて、雑だ。ドン・ジエンタラのインナー・イヤー・スタジオ、機材は最小限。だがこの雑さこそが正しい。磨いたら死ぬ音というものが、この世にはある。 ジェフ・ネルソンが描いたビール瓶の男が裏ジャケでこちらを見ている。革ジャンを着た瓶。中身は空っぽ。それが誰のことなのかは、聴けばわかる。 八曲で十五分。裏返してさらに四曲。終わったら、また針を落とす。そういうレコードだ。 ──── COFFEE PAIRING ──── このレコードに似合うのはアメリカの浅煎りのコーヒーのスタイルなのかもしれない。ストレートエッジハードコアの流れはいつしかスペシャルティーコーヒーの運動に結びついていった。そう信じている。
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The Eminent Jay Jay Johnson Volume 1 【Used Vinyl】
JPY 5,500(USD 34.82)
The Eminent Jay Jay Johnson Volume 1 Blue Note 1505 / 1953 トロンボーンがここまで速く動けるとは、知らなかった。JJジョンソンはビバップをトロンボーンに持ち込んだ。誰もできないと思っていたことを、ただやった。クリフォード・ブラウンが横にいる。若いミンガスが下を支えている。全員、急いでいる。急いでいるのに、ちっとも雑ではない。コーヒーが届く前に、A面が終わった。ペアリングはmemento。記憶という意味のブレンドは中深煎りでバランスがいい。速さの中に軸がある、このアルバムに似ている。
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Wes Montgomery / So Much Guitar! 【USED Vinyl】
JPY 1,800(USD 11.39)
ピックを使わない男がいた。 インディアナポリス。昼はラジオ工場で働き、夜はクラブで弾いた。近所迷惑になるからと、親指の腹で弦を撫でるように弾く癖がついた。それが世界を変えた。制約が様式になる。貧しさが音色になる。そういうことは、ときどき起こる。 1961年8月4日、ニューヨーク。ハンク・ジョーンズのピアノ、ロン・カーターのベース、レックス・ハンフリーズのドラム、レイ・バレットのコンガ。ウェスは三十八歳。名声はまだ追いついていない。だが指はもう完成している。 親指は速く弾けない。だから必要な音しか弾かない。装飾を削ぎ落とし、輪郭だけが残る。オクターヴが鳴るとき、そこには二本の弦しかないのに、部屋がひとつ埋まる。 「While We're Young」の一音目で、わかる。この男は急いでいない。急ぐ必要がない者の音だ。 ──── COFFEE PAIRING ──── YIRGACHEFFE ARICHA ナチュラルプロセス特有の、熟した果実の甘さ。輪郭がくっきりしていて、余分な要素がない。ウェスの親指が削ぎ落とした音の在り方と、この豆の澄み方は同じ場所にある。 冷めていく過程で甘さが立ち上がってくる。
福井県公安委員会許可第 521130011322 号
道具商
memento 株式会社

