The Modern Jazz Quartet / Concorde 【USED Vinyl】
¥1,800
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ジャズにタキシードを着せた四人組がいた。
モダン・ジャズ・クァルテット。ステージに現れるとき、四人は必ず正装だった。ヴァイブ、ピアノ、ベース、ドラム。バップの汗と煙から生まれた音楽に、彼らは背筋を通した。ブロウしない。叫ばない。ジョン・ルイスのフーガが、バッハの対位法をハーレムの夜に接続する。
1955年7月2日、ヴァン・ゲルダー・スタジオ。この盤で、コニー・ケイが初めてドラムに座った。ケニー・クラークの後任。全編を貫く彼のシンバル・ワークは、白熱していながら、決して前に出ない。抑制こそが熱を高めるということを、この四人は知っていた。
表題曲「Concorde」。ルイスがパリの街の名を冠した一曲だ。フランスへの憧れ、ヨーロッパの伝統。だがそれは単なる模倣ではない。得意のフーガ形式に、即興という譲れない核が埋め込まれている。ルイスとジャクソンの見事な調和。この一曲だけで、MJQが最高のモダン・ジャズ・コンボであることの証明になる。
ミルトのヴァイブが歌い、ルイスのピアノが応える。掛け合いは双子のようだ。誰が主役でもない。四人で一つ。それがこの楽団の、最初からの流儀だった。
針を落とせば、端正な熱が部屋を満たす。急がず、崩れず、美しく。
──── COFFEE PAIRING ────
memento
店の名を冠した豆。派手な個性で押すのではなく、全体の調和で聴かせる——その在り方が、この楽団とよく似ているからだ。
バランスのとれた甘さと、静かな余韻。ジョン・ルイスの端正なタッチのように、出しゃばらない。だが確かな芯がある。「朝日のようにさわやかに」を聴きながら、ゆっくり飲むのがいい。
『Concorde』は、モダン・ジャズ・クァルテット(MJQ)が1955年7月2日に録音した初期の代表作だ。「Django」と並ぶMJQの金字塔として知られ、後の名盤「Fontessa」に先立つ一枚である。
編成はジョン・ルイス(p)、ミルト・ジャクソン(vib)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)。本作はドラマーがケニー・クラークからコニー・ケイに交代してからの最初のレコーディングであり、ケイのスティーディで白熱したシンバル・ワークが全体を貫いている。録音はヴァン・ゲルダー・スタジオ、プロデュースはアイラ・ギトラーとボブ・ウェンストック。
MJQには表向きの指揮者がいない。実際にはピアニストであり作編曲を主に担当するジョン・ルイスが指導的立場にあるが、一人が主役で他が脇役という考え方は最初からなかった。四者が一つの目標を持ち、各自が個性と創意をもって発言し、それがアンサンブルとして狙った効果をあげる——そういう楽団だ。ルイスとジャクソンの交互に行う対位演奏、好んで用いるフーガ形式、ポリフォニックな音の構成。そこにMJQ独自のジャズ・サウンドが生まれる。
収録は「Ralph's New Blues」(ミルト・ジャクソンが音楽評論家ラルフ・グリーソンに捧げた作)、「All Of You」、「I'll Remember April」、ガーシュウィン・メドレー、「Softly As In A Morning Sunrise」、そして表題曲「Concorde」。この「Concorde」はルイスがパリの街の名を冠した曲で、初期の「エリゼ」「ヴァンドーム」、後の「ヴェルサイユ」と同じ曲想・テーマで書かれた、彼のフランスへの憧れを映す一曲だ。
本品はPrestige / 日本ビクターによる日本盤(ステレオ)。感情のおもむくままにブロウする演奏はここにはない。ジャズ・ビートに必ずしもこだわらず、ヨーロッパの伝統的な音楽の形式や精神を取り入れながら、即興の核を失わない。MJQの真価を示す不朽の古典。
condition
■ 盤面 (Vinyl) — VG+
Side 1 / Side 2 ともに光沢良好。試聴確認で針跳びなし、非常に綺麗な状態。深いスクラッチは見当たらない。経年相応のヘアライン(細かな薄スレ)がうっすらある程度。レーベル面(Prestige 黄/黒ラベル)も汚れ・書き込みなく良好。
デッドワックス:PRST-7005A
■ ジャケット (Jacket) — VG+
表面:「concorde / prestige 7133」タイポグラフィのデザイン。印刷・光沢とも良好。
裏面:ライナー面。経年のヤケ、下部にシミがある。左上角に軽微な傷み。テキスト・写真の視認性に問題はない。
背・角:リングウェアは軽微。シームスプリット(継ぎ目の裂け)は現状確認できない。
■ その他
帯なし(本盤は元々帯のない仕様)。
※コンディション評価はあくまで主観による。中古品・経年品であることを理解のうえ、写真もあわせて判断のこと。
【詳細情報 / Detailed Information】
アーティスト:The Modern Jazz Quartet(モダン・ジャズ・クァルテット / MJQ)
タイトル:Concorde(コンコルド)
レーベル:Prestige / 日本ビクター(Victor Record Company Ltd., Japan)
カタログ番号:SMJ-7133
規格番号:SPRES-7031 / PRST-7005
原盤:Prestige PRLP 7005(1955年)
フォーマット:LP, Album, Reissue, Stereo
回転数:33 1/3 rpm
録音:1955年7月2日、Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey
発売:日本盤(日本ビクター)/ by agreement with Cosdel Inc.
定価(当時):¥1,800
デッドワックス:PRST-7005A(Side 1)
プロデュース:Ira Gitler, Bob Weinstock
日本語解説:野口久光
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【トラックリスト / Tracklist】
Side 1
1. Ralph's New Blues ………… 7:07 (Milt Jackson)
2. All Of You ………… 4:27 (Cole Porter)
3. I'll Remember April ………… 5:06 (Raye-DePaul)
Side 2
1. Gershwin Medley ………… 7:56
a. Soon / b. Forevermore / c. Love Walked In / d. Our Love Is Here To Stay
(George & Ira Gershwin)
2. Softly As In A Morning Sunrise ………… 7:53 (Hammerstein-Romberg)
3. Concorde ………… 3:38 (John Lewis)
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【パーソネル / Personnel】
John Lewis — piano
Milt Jackson — vibraphone
Percy Heath — bass
Connie Kay — drums
Recorded July 2, 1955
Produced by Ira Gitler & Bob Weinstock
【ライナーノーツ要約 / Liner Notes Summary】
── 日本語解説(野口久光)
野口はまず、ジョン・ルイスという人物の紹介から始める。特異な個性をもったピアニストであり、作曲家・アレンジャーとしても稀な天分をもつルイス。彼を中心としてモダン・ジャズ・クァルテットが結成されたのは1952年末のことだった。
本作『コンコルド』は、ドラムのコニー・ケイがケニー・クラークに代わってからの最初のレコーディングであり、名盤「フォンテッサ」に先立つMJQの代表作のひとつとされる逸品だ、と位置づける。当時すでにMJQはフランス映画「大運河」「たそがれのベニス」、アメリカ映画「拳銃の報酬」、そしてMJQの演奏による「明日に賭ける」などを通じて映画音楽ファンやクラシック愛好家の間でも真価が高まっていた。
MJQの音楽の特色について、野口はこう記す。ピアノ、ヴァイブ、ベース、ドラムというコンボそのものは少しも新しくないが、この楽団の演奏目標・演奏態度はこれまでのジャズとは異なる。感情のおもむくままにブロウする演奏はここには見当たらない。ジャズ・ビートに必ずしもこだわらない。ヨーロッパの伝統的な音楽の形式や精神を取り入れている——それをもって一部の人からはジャズを逸脱したものとも言われるが、それはあまりにもせまい見方ではないか、と擁護する。
このクァルテットには表向きの指揮者がいない。実際にはピアニストであり作編曲を主に担当するジョン・ルイスが指導的立場にあるが、一人が主役で他の三人が脇役という考え方は最初からこの楽団にはなかった。四者が一つの目標をもち、各自が個性と創意をもって発言し、それがアンサンブルとして狙った効果をあげる。ミルトとジョンの交互に行う対位演奏の高度な探究、好んで用いるフーガ形式、ポリフォニックな音の構成。そこにユニークなジャズ・サウンドが生まれる、と。
「Ralph's New Blues」——ミルト・ジャクソンがサンフランシスコで活躍する音楽評論家ラルフ・グリーソンに捧げて書いたブルース。シンプルなテーマから無限のヴァリエーションが展開され、ヴァイブ、ベース、ピアノの掛け合いでテーマが二回提示された後、ミルトのヴァリエーション・ソロ(8コーラス)に入る。ここでのルイスの対位的なソロも注目される。
「All Of You」——映画にもなった「絹の靴下」の中の甘美な一曲。コール・ポーター作。ここではミルトが旋律的なバラード・プレイの最上の出来をみせる。
「I'll Remember April」——1941年のヒット曲。MJQはこれを非常に速いテンポで見事にスイング・アップする。ルイスとミルトによる旋律を明示した第1コーラスの後、ミルトが3コーラス、ジョンが5コーラスとソロ・プレイを展開し、そのあとヴァイブとピアノのかけ合いでクライマックスをつくる。コニー・ケイの白熱的なシンバル・ワークが全体を貫いてジャズ・ムードを高めているが、このような演奏でもブロウ型のハッタリが少しも感じられない。それがMJQの音楽の大きな特色でもある、と野口は強調する。
「Gershwin Medley」——MJQの重要なレパートリーのひとつであるバラード・メドレー。ガーシュウィンの美しいメロディ、ハーモニーを題材に、ミルトとジョンが四つの曲を取り上げ、ハートフルな演奏をくりひろげる。「ストライク・アップ・ザ・バンド」の中の「スーン」、「フォー・ユー・フォー・ミー・フォーエバーモア」、映画「ゴールドウィン・フォリーズ」の中の「忍びよる恋」「わが恋はここに」の順にワン・コーラスずつ演奏される。
「Softly As In A Morning Sunrise」——ロンバーグが楽劇「ニュー・ムーン」(1918)の中に書いたリリカルな歌曲。快適なミディアム・テンポでヴァイブとピアノで分け合って演奏されるが、その間にもミルトとジョンのリラックスしたカウンタープレイの妙味が光る。序奏とエンディングにバッハの「音楽の捧げ物」のカノン形式があらわれるのもルイスの好みのあらわれである。
「Concorde」——ジョン・ルイスの重要な作品のひとつで、初期の作「エリゼ」「ヴァンドーム」や後の「ヴェルサイユ」などと同じ曲想とテーマによって書かれたもの。ルイスのフランスに対する憧れ、殊に好きなパリの街や場所の名を冠した曲はみな美しいジャズ作品である。得意のフーガ形式とエレガントな曲想に現代のヨーロッパを連想させるが、即興の重要な価値をないがしろにはしていない。ルイスとミルトの美事な調和、好ましいリズムの二人——この一曲だけでもMJQが最高のモダン・ジャズ・コンボたることを充分実証している、と野口は結ぶ。
福井県公安委員会許可第 521130011322 号
道具商
memento 株式会社

