2026/08/23 23:46

熊川宿THEE COFFEEの店舗の裏で、レコードとコーヒーカップの販売を始めました。

THEE RECORDS & SOMETHIN' ELSE

ずっと、この店では、レコードをかけてきました。大きなスピーカーの前に座って、豆を焙いて、誰かを待つ。それだけです。
レコードを今度は、売ることにしました。
棚を作って、一枚ずつ、値段をつけて。ジャズも、ロックも、パンクも、実験的な音楽も。面白そうでしょう。

レコードは掘るものです。目当てを探しに来て、まったく知らない一枚と偶然出会って帰る。あの時間が、いちばんおもしろい。ついでに言えば、人生もそうかもしれない。大事なものは、だいたい、探していないときに横から来る。こっちが必死に追いかけているときは逃げるくせに、諦めた瞬間に、しれっと隣に座っている。棚の話をしていたはずなのに、なぜこんな話になったのか。まあ、いい、ジャズ喫茶というものは、レコード屋というものは、そもそも脱線するために存在する場所です。

コーヒーカップも並べました。若州窯のものです。手に取って、重さを確かめて、選ぶ。毎日使うものだからこそ、選ぶ時間を大事にしてほしい。うちで一杯飲んで、気に入ったカップを持って帰る。そういう日があってもいいんじゃないでしょうか。

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そして、ポッドキャスト-ジャズ喫茶のLONG BLACK RADIO、第三回を配信しました。

第三回は夏の話です。ゲストはなし。お盆が明けて、店は、びっくりするくらい暇になりました。あれだけ人が来ていた盆の喧騒が、満潮の潮が引くみたいに、すっと消えた。お客さんが一人しかいない夜。……あれは、贅沢です。

今回はラテンジャズの話をしています。八月は、ずっとこれをかけていました。水出しのアイスコーヒーと同じで、冷たいのに、奥に熱がある。熱いのに、涼しい。この矛盾を、キューバの連中は、アンサンブルでやってのける。ここで一つ、どうしても言っておきたいことがあって——涼しさというのは、寒さのことではないんです。本当に暑い場所を通り抜けてきた人間だけが持っている、あの、汗が引いていくときの静けさ。ラテンジャズの涼しさは、炎天下を歩き倒したやつの涼しさです。だから効く。話がどこかへ行きましたが、要するに、いい音楽でした。

それから、水出しアイスコーヒーのやり方も話しています。前の職場からずっとやっているメニューで、原点は2018年の台湾です。淹れ方のレシピも、そのまま喋りました。家でもできます。

そして、今回いちばん話したかったこと。中島の幼馴染に、渡邊一丘という男がいます。
a flood of circleという、ロックンロールバンドのドラマー。ガキの頃、一緒にバンドをやっていました。その一丘が、この夏、熊川宿に来てくれた。そして、そいつのバンドは、今年の春、結成二十年で、初めての武道館に立った。二十年、転がり続けて、やめなかった男が、あのでかいステージで、ドラムを叩いていた。他人事じゃない。番組では、その武道館のライブから、一曲かけています。ジャズ喫茶で、ロックンロールを。たまには、いいでしょう。もともと、そっち側の人間なので。

ポッドキャストへのリンクはこちら。

https://linktr.ee/longblackradio

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物は、いつか、なくなります。レコードは擦り減るし、カップは割れる。人も、二十年も、四十年も、転がればガタが来る。それでも——というか、だからこそ、いいと思えるものだけを、手渡していきたい。そういう店です。そういう番組です。

黒くて長い、若狭の山あいのジャズ喫茶から。眠れない夜の、遅い時間に。

ジャズとコーヒーと、良い夜をお過ごしください。



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