2026/07/17 01:51


オンラインストア開設のお知らせ

https://www.thee.coffee

ドメインを取るとき、.com にも .jp にもしませんでした。thee と coffee で、それだけで完結する。余計な尻尾を付けない。そういう住所を持ちたかった。

THEE は古い英語で「あなた」を指します。二人称の、いちばん近い形。名乗るときにこちらではなく相手を指している名前を、熊川の宿場町でずっと使ってきました。
ネット上でもそれを崩さないためのドメインです。

ジャズ喫茶が社会にどうあるべきか、という問いを考えます。

答えは出ていません。ただ、逃げ場である前に、居場所であってほしいとは思っています。

効率と速度がすべての外側に、音を聴くためだけの部屋がひとつ残っている。

誰とも話さなくていい。

何も生産しなくていい。

ただ座って、スピーカーから出てくるものを浴びている時間と許される場所。

そういう場所が街から消えていくことに、静かに抵抗しています。

コーヒーの焙煎について。
スペシャルティコーヒーという言葉が、いつのまにか正解になりました。
産地があって、農園名があって、フレーバーノートがあって、点数がある。

悪いことではありません。透明性は必要だった。
ただ、その透明さが規格になり、規格が採点になり、採点が正解になったとき、こぼれ落ちたものがあると思っています。

濃く、苦く、深く。喫茶店が出していたコーヒーが、そこにありました。

だからうちの焙煎は、スペシャルティへのカウンターです。品質を疑っているのではありません。順序を疑っています。豆の素性を先に語るのではなく、まず一杯として成立しているか。瓜割の滝の湧水で淹れて、この宿場町の土壁と空気の中で、レコードの音と一緒に成立しているか。

それを先に決めています。

回帰であり、ルネッサンスです。
後ろを向いているのではなく、途中で置き忘れたものを拾いに戻っているだけです。

ただ、カウンターと言いながら、こうも思っています。
スペシャルティコーヒーの祖先には、ストレートエッジハードコアという禁欲的なパンクカルチャーがあります。

酒を断ち、薬を断ち、澄んだ状態で音に向き合う。あの潔癖さと、産地と経路を突き詰めていく態度は、どこかで血がつながっている。

そしてはるかに遡れば、スピリチュアルジャズが見え隠れするでしょう。

文学とジャズ、ビートニクが見え隠れするでしょう。

求道と純度、そして逸脱。

わたしたちは、つながっています。

ジャズ喫茶は、スペシャルティコーヒーからビートニクまでを一直線につなぐ定規です。ストレートエッジ。

中古レコードの販売について。

古物商の許可を取って、盤を売っています。福井県公安委員会 第521130011322号。
番号を書くのは、これが正式な商いだからです。
目指していることは、はっきりしています。
ひとつ。未来の子どもたちに、アーカイブを残すこと。ジャズ、ロック、パンク。カウンターカルチャーと呼ばれてきたものの系譜が、盤の上に物として残っています。配信では系譜が見えません。次の曲が勝手に始まるだけです。レコードには順番があり、B面があり、ライナーがあり、前のオーナーの指紋があります。誰かがこれを買った、という事実ごと残っている。それを次の世代が手に取れる状態にしておきたい。

ふたつ。日本の盤の海外流出を、少しでも食い止めること。
いま、日本のレコードは驚くほど海外に出ています。国内盤の質の高さが世界に知られて、買われて、出ていく。市場としては健全なのかもしれません。
でも、このままだと、日本の子どもがジャズの盤を探そうとしたとき、日本には何も残っていない、ということが起こります。実際、起こりはじめています。

だから、拾って、直して、日本の子どもたちが未来に手に入れられるようにここに集めておきます。

全部は無理です。うちが扱えるのは、ほんの数枚です。それでも、数枚は数枚です。

熊川宿という山あいの、百五十年前の蔵から、それをやります。

オンラインストアは、その延長です。ここまで来られない人のための、もうひとつの入口。豆と、盤と、それに付いてくる長い文章が置いてあります。

https://www.thee.coffee

覗きに来てください。急がなくていいです。

#THEECOFFEE #熊川宿 #ジャズ喫茶 #自家焙煎 #スペシャルティコーヒー