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Tal Farlow / The Swinging Guitar Of Tal Farlow 【USED Vinyl】

¥1,800

残り1点

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指が長すぎた男の話をしよう。

タル・ファーロウ。看板描きの職人だった。二十歳を過ぎるまでギターに触れもしなかった。それが数年でこの国最速の指になった。誰も教えていない。誰にも教わっていない。

そして一番速くなった頃、彼は消えた。ニュージャージーで看板を描き、海辺で釣りをして、ときどき近所の店で弾いた。ジム・ホールとバーニー・ケッセルが訪ねてきて、頼むから戻ってくれと言った。ファーロウは首を横に振った。

このレコードは1956年。消える二年前の音だ。エディ・コスタのピアノが、まるで同じ一人の人間の左手みたいにギターに絡む。コスタもまた消えた。1962年、三十二の誕生日を前に、車の中で。

速さは何かから逃げるためのものだったのか。誰にもわからない。ただ盤の上で、二人の指はまだ走り続けている。追いつく者はいない。

pairing coffeeはマンデリンG1
軽快だが、意味がある。故に重たい。

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『The Swinging Guitar Of Tal Farlow』は、1950年代ジャズ・ギターの最高峰と称されるタル・ファーロウの代表作だ。1956年6月、ヴァーヴでの録音。

編成はエディ・コスタ(p)、ヴィニー・バーク(b)とのトリオ。1955年から1958年までクラブ「コンポーザーズ」に出演していたレギュラー・グループであり、その一体感は別格だ。ファーロウのギターとコスタのピアノが4小節交換で絡み合う瞬間は、まるで一人の人間が二つの楽器を同時に弾いているかのような錯覚を起こさせる。

エディ・コスタのピアノは打楽器的なタッチが特徴で、特に低音部のオクターヴ・ユニゾンの乾いた響きは一度聴けば忘れられない個性を持つ。ヴァイブ奏者でもあった彼のこのタッチは、1962年の事故死によって永遠に失われた。

収録曲はスタンダードが中心。「Yardbird Suite」ではチャーリー・パーカーの名曲を、「Meteor」ではファーロウのオリジナルを聴かせる。「Taking A Chance On Love」「I Love You」といった名曲群も、このトリオの手にかかれば別の生き物になる。

ジャズ・ギターを語るうえで避けて通れない一枚。スイング・ジャーナル選定ゴールド・ディスク。

Condition

盤 (Media): VG+
ジャケット (Sleeve): VG

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■ 盤面 (Vinyl) — VG+
Side A / Side B ともに光沢良好。目立つ大きなキズはない。ライトを当てると経年相応のヘアライン(細かな薄スレ)がうっすら確認できるが、深いスクラッチはなく良好な状態。レーベル面(ヴァーヴ黒レーベル)も汚れ・書き込みなく美しい。

■ ジャケット (Jacket) — VG
見開き(ゲートフォールド)仕様。
表面:全体の光沢・印刷とも良好。角にわずかな擦れがある程度。
裏面:オリーヴグリーンの地色で、目立つ汚れ・傷みはなく良好。
見開き内側:経年によるシミ(フォクシング/茶色い斑点)が全体的に散見される。テキスト・解説の視認性に問題はない。
背・角:リングウェアは軽微。シームスプリット(継ぎ目の裂け)は現状確認できない。

■ 付属
見開き内に日本語解説(油井正一)を印刷。別紙インサートではない。

※コンディション評価はあくまで主観による。中古品・経年品であることを理解のうえ、写真もあわせて判断のこと。

info

アーティスト:Tal Farlow(タル・ファーロウ)
タイトル:The Swinging Guitar Of Tal Farlow(スウィンギング・ギター)
シリーズ:Immortal Jazz On Verve(ヴァーヴ不滅のジャズ・シリーズ)
レーベル:Verve Records / 日本グラモフォン株式会社
カタログ番号:MV-1105(レーベル面)/ SMV-1105(ジャケット表記)
日付コード:SE 6909(1969年9月)
フォーマット:LP, Mono(モノラル)/ 見開きジャケット(Gatefold)
回転数:33 1/3 rpm
録音:1956年6月
製造:日本グラモフォン株式会社(NIPPON GRAMMOPHON CO., LTD. JAPAN)
定価(当時):¥1,750
受賞:スイング・ジャーナル選定 ゴールド・ディスク
シリーズ監修:岩浪洋三 / 児山紀芳 / 油井正一
日本語解説:油井正一
プロデュース:Norman Granz

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【トラックリスト / Tracklist】

Side A
1. Taking A Chance On Love(恋のチャンス)………… 4:42 (Duke-Fetter-La Touche)
2. Yardbird Suite(ヤードバード組曲)………… 5:12 (Parker)
3. You Stepped Out Of A Dream(夢からさめて)………… 5:37 (Brown-Kahn)
4. They Can't Take That Away From Me(誰も奪えぬこの思い)………… 5:39 (George & Ira Gershwin)

Side B
1. Like Someone In Love(恋の気持で)………… 6:35 (Burke-Van Heusen)
2. Meteor(ミーティア)………… 6:32 (Farlow)
3. I Love You(アイ・ラヴ・ユー)………… 5:28 (Porter)

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【パーソネル / Personnel】

Tal Farlow — guitar
Eddie Costa — piano
Vinnie Burke — bass

Recorded June 1956


── 日本語解説(油井正一)より

本盤は1969年10月のタル・ファーロウ初来日に合わせた記念盤として発売された。解説はまずその経緯から始まる。

ファーロウは1954年にロサンゼルスへ移り、レッド・ノーヴォ・トリオ(ノーヴォ、ファーロウ、ミンガス)、アーティ・ショウのグラマシー・ファイヴを経てニューヨークへ戻る。そこで1955年、エディ・コスタ(p)とヴィニー・バーク(b)を迎えたタル・ファーロウ・トリオを結成した。クラブ「コンポーザーズ」に1958年まで出演していたが、店が経営難で閉店するとトリオを解散し、ニュージャージーへ引退してしまう。

1959年にヴァーヴへ2枚のセッションを残したのち、その消息はほとんど知られなくなった。ジム・ホールとバーニー・ケッセルはたびたびニュージャージーにファーロウを訪ね、その神技に脱帽し、一日も早いカムバックを勧めたという。だがファーロウは「どうせカムバックするなら、新しいものを身につけてセンセーショナルなものにしなければ意味がない」として、なかなか腰を上げようとしなかった。

1968年7月、ニューポート・ジャズ・フェスティヴァルへの出演を受諾。10年の空白を置いたこの巨匠のカムバック演奏は、全期間を通じて最大の話題となり、見事第一線に返り咲いた。それゆえ、13年前のこの録音を聴くことには特別の意味がある——解説はそう位置づける。

エディ・コスタについても筆が割かれる。1930年8月14日ペンシルヴァニア州アトラス生まれ。18歳でニューヨークに出てプロとなった。ピアニストであると同時にヴァイブラフォン奏者でもあり、その打楽器的で個性的なタッチは、どんなレコードでも即座に「エディ・コスタだ」と判別できるほどだったという。1962年7月27日、32回目の誕生日を迎える少し前に自動車事故でこの世を去った。

演奏解説では、ファーロウとコスタの関係を「まるで双生児か、一人の人間が別の楽器を同時に弾いているのではないかと疑われるほどよく似ている」と評する。コスタのピアノ・スタイルはファーロウのギター・スタイルから生まれたものだ、と油井は書く。

各曲についても詳細な分析が付されている。「Taking A Chance On Love」はヴァーノン・デューク作の1941年のミュージカル「キャビン・イン・ザ・スカイ」の名曲。「Yardbird Suite」はパーカーが1941年、まだカンザス・シティのジェイ・マクシャン楽団にいた頃の作。「Meteor」はファーロウのオリジナルで、大気現象(流星、雹、つむじ風)を意味する。「I Love You」はコール・ポーターが戦時中に書いたミュージカル「メキシカン・ヘイライド」の主題歌。

なお解説には、録音月日が不明のまま残されていること、マトリクス番号(2808〜2814)からカウント・ベイシー楽団の母盤番号(2901〜13)と推して5月末ないし6月初旬に間違いないと思われる、という考証も添えられている。

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